土壁の奥に、ふわっと浮かび上がる

11月1日にオープンしたもつ鍋と割烹『松阪こいさん』に、オリジナル照明とテーブル天板、看板などを製作し納めさせていただきました。

今回のご依頼は、いつもお世話になっているヨネダ設計舎(株式会社ヨネダ設計社)の米田くんから。

灯りは、鍋を模したランプシェードを各テーブルに、それともう一つは、空中に浮遊しているようなイメージの横に大きな提灯をというオーダーでした。

提灯は、入ってすぐに目に入る象徴的な土壁の奥に、ふわっと浮かび上がるように見せる、これまた象徴的でとても重要なものですので、というプレッシャー付き。

いつもオーダーメイドをお受けするたびに、自分では思いもつかなかったものを作らせてもらっているなあと思います。

看板製作にしろ、家具製作にしても、お客様のご要望にこれまで使っていなかった筋肉を動かせてもらうような感覚があります。

 

今回の横3.3mの和紙を張った巨大提灯製作も、自分には作ることさえ思いもつかなかったものでした。

できるんちゃうかなあ、と軽く受けてしまったものの、構想を練って作り出したらすぐにこれは大変だと気付きました。

試行錯誤と失敗の連続。

大きな形を華奢で軽く見せたいと思い、骨組みをできるだけ細く簡素に組みたいのですが、強度がなくなり骨を組んだ後も変形してしまいます。

影が出てしまうので、照明内部に補強を入れることはできません。

その上、アイアンの骨組みをガス溶接で繋いでいるのですが、ガスの熱で焼きなまった骨が部分的にとても曲がりやすいものになります。

この状況を救ってくれたのは和紙でした。

今回の提灯の話が出てすぐに和紙を貼るなら、京都で手漉きしているハタノワタルさんの和紙しかないと思っていました。

ハタノさんは手漉き和紙だけでなく、和紙を用いた実用品から和紙を用いた内装、和紙の美術作品まで余すところなく和紙を誰よりも楽しんでいらっしゃる(僕の個人的見解です)現代の職人さんでありアーティストです。(書も素敵です)

骨組みに不安を抱えた状況の中、ハタノさんから届いた和紙は、手で割くこともできないほど強く、美しいものでした。

焼きなましの問題は部分的に急冷しながら組み上げることで解消し、形状をギリギリまで華奢にした骨組みを、木でこしらえた型の中で形状を保ちながら組み上げることにしました。

そうしてできた新しい骨組みに、和紙張りをすることで全体は引き締まり、強度が想定した以上に増しました。

今では結果的に、とてもいいものが出来上がったと自惚れています。

 

実際店舗のカウンターに提灯を取り付けたら、銀色の天井に提灯の灯りが反射し美しく反射し綺麗でした。

入ってすぐの象徴的な土壁は、左官職人の西川和也さんが京都の稲荷山の土を練って塗られたもの。

象徴的な壁の奥に、米田くんが予見していた光が浮かんで見えました。

 

自分では思いもつかなかったものをご依頼いただき、使ってなかった筋肉を動し、お客さんに喜んでもらったり、「すごいですね」と言ってもらることがあります。

その度にいつも、これを注文する人がすごいのにと思っています。

僕にこれができると、思って頼んだ人がすごいなあと。

 

鍋を模したランプシェードも、看板もそして提灯も喜んでいただけたようです。

今回も米田くんは、「めちゃくちゃいいですね」といつものように興奮気味に言ってくれました。

「いやいや、よく作ったこと無いもの頼んでくれたなあ」と、僕は思ってますから。

ありがとうやで。

 

 

看板:銅板

テーブル天板:国産ケヤキ材(武田製材)

オリジナルペンダント照明:アルミシェード・銅シェード  E26真鍮スイッチングソケット

オリジナル提灯行灯:アイアン骨組みに和紙

 

松阪 こいさん

三重県松阪市愛宕町385-16
0598-21-6767
17:00〜24:00 (ラストオーダー 23:00)
定休日 月曜日定休(祝日の場合は火曜日)
予約受付時間 営業日の13:00〜

 

株式会社ヨネダ設計社

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