底の方で

中谷武司展『Boys and Girls』にお越し下さった皆さま、ありがとうございました。

振り返ってみれば、賑やかなレセプションパーティーで幕を開けた6月8日から走るように過ぎ去った約2ヶ月でした。

お忙しい武司さんも土曜だけの展示のために、大台界隈の散策を交えながら、毎週在廊してくださいました。

その間に、たくさんの興味深いこれまでのお話や、これからの野心的な展望などテープレコーダーを回しておきたかった話を山盛りしてくださいました。

武司さんをお迎えがてら、フレッシュなサトナカをこまめに入れ替えつつ、頻繁に来てくださったゆきさんもありがとうございます。

たくさんの気づきとともに、温かく僕たちの仕事についてもアドバイスをくださった中谷武司協会のお二人には感謝の気持ちでいっぱいです。

そして会期中、一番うちの店で古物を買ってくださったのはやはり鬼才中谷武司その人だったのでした。

 

写真は、最終日、「底味(ソコアジ)というものがあるんよ、それがないなら偽物!」とゆきさんに息を巻く武司さん。

干し椎茸に端を発した出汁についての話だったのですが、「底味」というフレーズが不意に胸に刺さりました。

ものづくり、引いては生き方にも向けられた言葉のようだと思えたからです。

 

会期中に気づいたのですが、武司さんは「今失われつつあるもの」にとても敏感です。

それは作品やデザインにも通底して表現されていますし、僕たちが大切にしたいと思える古いものとも通じる部分でもあります。

もちろん、ただ懐古的に振り返るのではなく、今現在にしっかりと根を下ろしながら日々自身を更新し続けて保たれる感度だと思うのです。

 

旅好きな武司さんが先日のブログに「不便や不条理を背負って歩くのが旅である」と書かれています。

効率的で便利すぎる今の世の中で、このような感情を背負いながら自分の足で歩き続けてきたこと、表現し続けてきた事が中谷武司さんの底味になっています。

 

武司さん、ありがとうございました。

@24iro @nijiiro7