チリも払わないまま

故郷ボローニャからほとんど出ることなく、世界の目まぐるしい美術運動の変動とともに無縁に、生涯独身で、50年間ひっそりとアジな静物画ばかりを描き続けた20世紀の静物画家、ジョルジョ・モランディ。

 

数年前、友人がプレゼントしてくれたジョルジョ・モランディが静物画のモチーフにしたオブジェクトばかりを撮影し記録した写真集が手元にあります。

モランディの書いた静物画と写真集を見比べてみると、モチーフの一つ一つは、なんども並べられ、角度を変え幾度も描かれていうることがわかります。

 

最近読んだ美術史家、宮下規久朗氏の著書『美術の力』によれば、モランディ自身が漏斗と瓶を接着させ組み立てたものであったり、反射光を避けるために着彩されたオブジェもあるそうです。

そうして出来上がった日常的な実用品ではない品々。

故に、描かれたモチーフは特定の用途や意味を感じさせることなく、一種の記号のように画面構成要素の一つに還元されていて見飽きることがない、とのこと。

静物画家でありながら、造形的、あるいは建築的な作業を小さなテーブルの上で行なっていたことを知って、一層この写真集が面白くなりました。

 

中央から離れた古都で、没するまで一貫して自己の様式を追求しながらも、常に過去の優れた美術を幅広く見聞し貪欲に学習していたという作家の作品からも、残されたオブジェクトのピクトリアルレコードからも、ひとつひとつのオブジェクトや事象に対する愛みたいなものが垣間見えてきます。

 

※この写真集に収められたオブジェの数々は作家のアトリエで、残されたままの姿で埃も払わないままに撮影されています。

そういう一つ一つが気が利いてますねん。ええ仕事してはる。

撮影:ジョエル・マイロウィッツ。

写真集は店の本棚に置いてありますので、よかったらコーヒーでも飲みながらどうぞ。

ゴールデンウィーク最中の5月の営業は4日から。

※5月10日(金)は京都平安蚤の市に出店します。

@24iro @nijiiro7

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